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トップ > 狼と香辛料 > 狼と香辛料 - 人気ブログ(Blog)検索結果詳細 (2008年12月2日 2時)
ファンタジー物のラノベが復活しつつある、ような気がする
「ラノベってファンタジー小説のことだよね?」と言う人がいまだにいるくらい、一昔前はライトノベル=ファンタジーという印象が強かったのではないかと思いますが*1、いまやライトノベルでは学園物や異能バトル物が主流となり、ファンタジー物は一時期の人気をすっかり失ってしまいました。最近の話題作を思い浮かべれば、『フルメタ』に『シャナ』に『ハルヒ』と、現代学園物がずらりと揃っていますしね。
ところが最近は、ファンタジー物の新作が多かったり、その新作が売り上げランキングの上位に入っていたり、また今月などは電撃文庫が3シリーズもの戦記物を送り出したりして、実はわりと勢いが出てきているんじゃないのかファンタジー、という感じがします。読者層が入れ替わって逆に新鮮になったのかどうなのか、来年あたりファンタジー物の復権があるのかもしれません。
というわけで最近のファンタジー物を紹介してみるの巻。
戦記ファンタジー
いまファンタジー系の中で最も勢いがあるのではないかと思われるジャンル。特に電撃文庫は『タザリア王国物語』『烙印の紋章』『ゆらゆらと揺れる海の彼方』など複数の戦記ファンタジーを抱えており、なんだか知らないけど妙に力を入れている印象。
- 作者: 杉原智則
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/05/10
- メディア: 文庫
剣闘士が王子様と入れ替わって異国の姫君をゲットする話。超逆玉だぜ。じゃなくて。一巻では王子になるまでの経緯と初陣の様子が、二巻では剣闘士同士の一騎打ちと国内外に張り巡らされる陰謀・策謀が、それぞれ描かれており、戦争一辺倒ではないバランスの取れた作品になっていると思います。癖が少ないので初心者に最適。売り上げも好調なようです。
また、富士見ファンタジア文庫では『火の国、風の国物語』が、スニーカー文庫では『ミスマルカ興国物語』が、ともに準エース級の人気を獲得しています。
この作品の特徴はなんといっても主人公が強すぎる点。4人 vs 1000人で戦って(もちろん主人公は4人の方)無傷で勝利したりするあたり、文字通りの意味で一騎当千。そんなチート主人公を敵方はどんな策でもって止めるのか、またその策を主人公がどのように打ち破るのか、というあたりの駆け引きが見所でしょうか。あとヒロインの数も無駄に多くてハーレム最高。俺TUEEEの爽快感を味わいたい人におすすめです。
気力も体力もないぐーたら王子が、口先だけで世界征服しようとする話。『火の国〜』とはまったく対照的な作品で、読み比べてみると面白いです。この作品はかなり冒険ファンタジー的な要素が強くて、戦争シーンなんかがほとんどないあたりが特徴。まあ言葉で戦うのが主人公の信条なので、戦争になればその時点で彼の負けということなんでしょう。驚きと笑いに溢れた作品です。一風変わったものを読みたい人におすすめ。
冒険ファンタジー
少し前までライトノベルの主流だったジャンル。特に富士見ファンタジア文庫からは『スレイヤーズ』『魔術士オーフェン』『エンジェル・ハウリング』『スクラップド・プリンセス』『伝説の勇者の伝説』など、数多くの冒険ファンタジー作品が輩出されてきました。ただ、さすがの富士見Fもいまではすっかり非ファンタジーに重心を移していて、冒険ファンタジー系は『伝説の勇者の伝説』に任せきりという感じも。
- 作者: 渡瀬草一郎, 碧風羽
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2007/11
- メディア: 文庫
電撃文庫が誇る幼馴染作家・渡瀬草一郎が贈る正統派冒険ファンタジー。なんといっても幼馴染の凶悪さが凄い。見た目は清楚なお嬢様、しかしその中身は主人公に異常な愛情を向ける独占欲の権化。笑顔で人を殺すタイプ。個人的な予想ですがたぶんラスボスは幼馴染です。…いやもちろん、幼馴染以外はまっとうなファンタジーです。読み応えのある作品を読みたい人におすすめ。
学園ファンタジー
学園物+ファンタジーという黄金の組み合わせ。『ゼロの使い魔』を筆頭に、『黄昏色の詠使い』や、ちょっと雰囲気違うけど『鋼殻のレギオス』とか、けっこう人気作品が多いジャンル。
- 作者: 平坂読, じろう
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/07/23
- メディア: 文庫
売り上げ的には『レギオス』や『黄昏色〜』の方が上だろうにこちらを紹介するのは、まあ俺が好きだからです。ヒロインも全裸。主人公も全裸。一冊丸ごと全裸。魔法暴発→服が破れる→全裸、というお約束をやりたいがためにファンタジー世界を採用したんじゃないかと思えるくらい全裸。もはや「エロいから」とか「売れるから」とかそんな理屈を超越して、ただ全裸にしたいがために全裸にしているようにも思える全裸。『ねくろま。』最終巻は08年11月25日発売です。6冊まとめてレジへGO。
んで
ファンタジー作品のいちばんの問題点は「アニメ化されることが少ない」ということではないかな、と思います。最近のラノベ原作アニメの中でファンタジー物って『ゼロの使い魔』と『スレイヤーズ』くらいだし、なんかアニメ化しづらい空気になってるんじゃないかなぁ。
そういえば、『スレイヤーズ』が今頃になってアニメ化されたのは『伝説の勇者の伝説』アニメ化前の露払いなんじゃないかと勘ぐったりもしたんだけど、どうやら企画がポシャってしまったようで。いま猛烈にプッシュされてる同作者の新シリーズ『いつか天魔の黒ウサギ』は、どうやら学園異能系のようだし、やっぱりまだまだ異能バトル物が強いのだろうか。
*1:いや「ライトノベル」という言葉は定着してなかっただろうけど
作者:kazenotori
更新日:2008年11月16日 12時30分
ライトノベルって議論のネタがあんまりないよなぁ
と思うことがある。たまに。
たとえば漫画オタクなら作家の画力について、アニメオタクなら作画について語ることができるけど、ラノベオタクが挿絵について語ると単なるイラストレーターの話になってしまう。そこに「ラノベ読みならではの視点」みたいなのはあんまりない。いくら「ラノベはイラストが命」と言っても、イラストこそがメインである漫画とかと比べると、ラノベの挿絵は重要度が低い(誤解を招きそうな表現)んだろうな。「文章がダメだから途中で読むのやめた」はあっても、「イラストがダメだから途中で読むのやめた」なんてことは、たぶんないだろうし。
文章については、ラノベというジャンル自体が「文章の正しさ」をあまり気にしないということもあって、「てにをは」が明らかにおかしいというくらいでないと批判されないように思う。画力と違って文章力はパッと見では分かりにくいという理由もあるかも。
あと、ラノベに対する(外部からの)批判として、「ラノベは会話文が多い」「改行が多い」「擬音・擬態語が多い」というものがあるけれど、これらもいまでは「ラノベはそれでいいんだよ」みたいな空気になっているので、あんまり議論にはならない。あ、最近は「ラノベの文章はくどい」というイメージが生まれつつあるようなので、そちらは議論のネタになるかもしれない(誰か語ってみませんか?)。
ちなみに「会話の多用」については、こちらのコラムや新城カズマ著『ライトノベル「超」入門』にて、「そんなことないよ!」という指摘がなされている。
刊行点数が中途半端に多いために一つの作品についてとことん語ることが少ない。ラノベサイト界隈において「話題になる」とは、「その作品を(好意的に)紹介する感想ブログが多い」というのに過ぎない。それだって一ヶ月もすればまた別の「話題作」に取って代わられてしまうし。
ジャンプの看板漫画のように「誰もが知ってる超ヒット作」があれば、それについて語る人も増えてくるだろうけど、そこまでのヒット作は最近では『涼宮ハルヒ』シリーズくらいしかないし。そのハルヒだってジャンプのように毎週話題が提供されるわけでもないしなぁ(それどころか一年以上新刊出てないよ!)。
ちょっと前のエントリだけど、こちらではエロゲ語りにおける論点がまとめられている。
エロゲ語りに巣食う10のパラノイア - ForExample...
「処女と非処女」「寝取られ」「泣きゲーの是非」「ゲーム性」「業界論」「主人公の有能/無能性」「ボイスの有無」「エロ不要論」「美少女という造形」「エロゲ論壇不要論」が挙げられているけど、この中でラノベにも当てはまるのは「業界論」「ラノベ論壇不要論」くらいじゃないだろうか。「主人公の有能/無能性」も当てあまるかもしれないけど、でもエロゲほど主人公にこだわることはないよなぁ、たぶん。ちょっとヘタレだからってここまでネタにされるなんて、ほんと恐ろしい世界ですよ。
というわけで、ラノベサイトではライトノベル定義論が延々と繰り返されているという話。老若男女問わず盛り上がれる唯一の話題が「ライトノベルって何?」だなんて何だか悲しい話だけど、まあそれくらい話題がないということで。ブログが1ヶ月半も更新されないのも仕方がないですよね。
作者:kazenotori
更新日:2008年11月8日 22時49分
初めてのライトノベルに最適な一冊 平坂読『ラノベ部』
- 作者: 平坂読
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/09
- メディア: 文庫
元ネタ一覧やろうかなと思ったら案の定先を越されていて、俺より先に読んだ奴は爆発まあ書店に並んでからけっこう経ってるし仕方ないよね☆という気分になりました。ともあれ、ついに読たんが脚光を浴びるときが来たのだから、何はなくともプッシュしなくてはなりません。というわけで作品紹介です。
あ、いちおう元ネタ一覧も最後に書いておきます。せっかくリストアップしたしね…。
ラノベなんて存在すら知らなかった少女・物部文香が、ひょんなことから「軽小説部」に入部するところから物語は始まります。まあ物語といっても、基本的には軽小説部=ラノベ部の面々が、特に内容のない会話を繰り広げるだけです。ジャンル分けするなら日常系ということになるでしょうか。各章がかなり短いので、四コマ漫画みたいな感覚でさらさらと読み進めることができると思います。小説に慣れていない人でも安心の親切設計、という感じですね。
ラノベネタ・オタクネタは満載ですが、ラノベオタク専用作品というわけではありません。むしろその逆。これはラノベ初心者の少女が次第にラノベを好きになっていく過程を描いた作品です。ラノベの魅力、本を読むことの楽しさ、作者から迸るラノベ愛、そういったものがびんびんに伝わってきます。あなたがこの作品を読み終わったとき、きっとラノベを、いや漫画でもアニメでも小説でも、とにかく何かを読み/観たくて仕方がなくなっているはずです。…たぶん。
とりあえず、「ラノベに興味あるんだけど何を買えばいい?」という人は迷わず『ラノベ部』を買えばいいよ! 「初めてのラノベはどれを選ぶべき?」という人は『ラノベ部』を選べばいいよ! 「(元ネタ一覧を見て)ハルヒ? シャナ? 知らない作品ばかりだぜ…」という人にこそ『ラノベ部』を読んでもらいたいよ! 超おすすめ!
おまけ:『ラノベ部』の元ネタ一覧。確証はありません。
| ページ数 | ネタ | 元ネタ | 元ネタ解説 |
|---|---|---|---|
| カラー口絵 | 文香が持ってるラノベ | 『SH@PPLE』竹岡葉月 | 双子の姉弟がそれぞれの立場を取り替える異性装ラブコメ。富士見ファンタジア文庫。既刊3巻。ちなみに『SH@PPLE』と『ラノベ部』の絵師は同じ人。 |
| カラー口絵 | ヒロインたちによるコスプレ | 右から『ブギーポップ』シリーズのブギーポップ、『ゼロの使い魔』のルイズ、『狼と香辛料』のホロ、『灼眼のシャナ』のシャナ | |
| 登場人物名 | 名字がパロディになっている | 竹田→『ブギーポップ』シリーズの主人公・竹田啓司、浅羽→『イリヤの空、UFOの夏』の主人公・浅羽直之、物部→『Dクラッカーズ』の主人公・物部景、桜野→『銀盤カレイドスコープ』のヒロイン・桜野タズサ、堂島→『悪魔のミカタ』の主人公・堂島コウ、吉村→『護くんに女神の祝福を!』の主人公・吉村護 | |
| 16 | 「あなた、タイが曲がっていてよ」 | 『マリア様がみてる』今野緒雪 | いわずと知れた少女向け百合ラノベの定番。コバルト文庫。 |
| 23 | 「香辛料の香?」 | 『狼の香辛料』支倉凍砂 | アニメ化もされた経済的バカップル小説。電撃文庫。既刊9巻。 |
| 23 | 「なんとなく文学少女っぽい」 | 『“文学少女”シリーズ』野村美月 | ファミ通文庫の人気作。本を食べる“文学少女”がお説教してくれる話。切なそうな表紙に反してめっちゃドロドロしてる。全8巻+番外編が出るらしい。 |
| 30 | 日本刀を持ったマント姿の少女 | 『灼眼のシャナ』高橋弥七郎 | アニメ化もされた学園異能バトルのスタンダード。電撃文庫。既刊14巻。 |
| 34 | 最初のラノベ | わかりません | 意外になさそうなあらすじだけど。 |
| 36 | 二冊目のラノベ | 『スレイヤーズ』神坂一 | おそらく史上最も有名なラノベ。富士見ファンタジア文庫。 |
| 38 | 三冊目のラノベ | わかりません | 純粋なミリタリー物は珍しいから特定できそうだけど… |
| 44 | ネコミミモード | 『月詠』有馬啓太郎 | 有名な電波ソング。アニメのEDテーマ。原作の『月詠』は漫画。 |
| 46 | 表紙に犬っぽい耳が生えた少女 | 『狼と香辛料』支倉凍砂。追記:作者によると「狼と香辛料と見せかけてかのこんという叙述トリック」だそうです。 | |
| 49 | ケモノ耳が生えたせいで脳に障碍があるキャラ | 『ルナティック・ムーン』藤原祐 | 鬱・燃え・萌え、三拍子揃った純愛バトル小説。電撃文庫。全5巻。 |
| 52 | 友情は見返りを求めない | 『CROSS†CHANNEL』 | エロゲに登場する名台詞。らしい。 |
| 87 | ぱんつはいてない | 駒都えーじ | ラノベ的には『イリヤの空、UFOの夏』や『まぶらほ』の絵師。ぱんつをはいてないように見えるイラストで有名。 |
| 94 | 海賊王・新世界の神 | 『ONE PEACE』『DEATH NOTE』 | ジャンプ漫画。 |
| 95 | 様々な魔法を操る戦士たち | 『ウィザーズ・ブレイン』三枝零一 | 刊行ペースがゆっくりな近未来サイバーSFファンタジー。電撃文庫。既刊10巻。 |
| 106 | その部分だけ抜き出されて動画の素材に | 『らき☆すた』美水かがみ | チョココロネの文脈でいわれるとつかさの「ちんちん」を連想せざるをえない。 |
| 115 | 無限に枝分かれした平行世界 | 『学校を出よう!』谷川流 | よくある設定だけど次に出てくるのが同作者のハルヒネタなので。濃ゆいSF度を誇る学園アクション物。電撃文庫。既刊6巻 |
| 115 | 願望を実現させる能力 | 『涼宮ハルヒシリーズ』谷川流 | ラノベでは近年最大のヒット作。スニーカー文庫。既刊9巻。 |
| 141 | SH@…… | 『SH@PPLE』竹岡葉月 | |
| 141 | 少女漫画っぽいタッチで男の子と女の子が抱き合ってる | わかりません | 思いつくような思いつかないような |
| 141 | 制服姿の女の子が(中略)複雑なデザインの武器(?)を持ってる | わかりません | |
| 142 | 女の子の顔がアップに | 『涼宮ハルヒシリーズ』? | |
| 144 | 『ねくろま。』 | 『ねくろま。』平坂読 | 『ラノベ部』作者・平坂読の別作品。人が死んだりぐちゃぐちゃになったりしませんよ、本当ですよ。全裸の女の子ばかり出てくる最高のラブコメですよ。MF文庫J。既刊5巻。 |
| 144 | 全部カタカナの作者名 | ヤマグチノボル・ハセガワケイスケ・スズキヒサシとか | 「アサウラ」や「ツカサ」という作家さんもいるけど新人なので「前に書いていたシリーズ」がない。 |
| 149 | 「俺の武装錬金!」 | 『武装錬金』和月伸宏 | かつてジャンプで連載されていた熱血変態漫画。マジ傑作。全10巻。 |
| 153 | リレー小説『伝説のアルチメットセイバー伝説』 | 『伝説の勇者の伝説』鏡貴也 | リレー小説の内容自体はコードギアスっぽいような。 |
| 188 | えーるすとらいくがんだむ | 『機動戦士ガンダムSEED』 | の主役機。 |
| 196 | ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア | 『コードギアス』 | の主人公。 |
| 202 | 憂鬱・薔薇・蟲・鋼殻・刀鍛冶・処方箋・遊戯 | 『涼宮ハルヒの憂鬱』『薔薇のマリア』『蟲と眼球シリーズ』『鋼殻のレギオス』『聖剣の刀鍛冶』『桜乃きらほの恋愛処方箋』 | …「遊戯」だけわからなかった。 |
| 214 | KOOL | 『ひぐらしのなく頃に』 | ひぐらしネタ、らしい。 |
| 215 | 人斬り抜刀斎 | 『るろうに剣心』和月伸宏 | 働きたくないでござる!絶対に働きたくないでござる! |
| 217 | キラ×アスラン | 『機動戦士ガンダムSEED』 | の主人公& |
| 225 | 表紙にピンク色の髪をした少女 | 『ゼロの使い魔』ヤマグチノボル | ラノベでツンデレといったらコレ。MF文庫J。既刊15巻。 |
| 260 | なんすか? エックスなんとかとかアフターとかって | X RATEDは『ToHeart2』、アフターは『CLANNAD』、エクスタシーは『リトルバスターズ!』 | 三作品ともギャルゲ・エロゲ |
作者:kazenotori
更新日:2008年9月24日 23時46分
ウェブサイトはラノベの売り上げに影響をもたらすか?
そういえば、最近になってネットで爆発的にヒット、話題になったライトノベルって結構ありましたよね。ニュースサイトにその話題が駆け巡った翌週にはアキバ壊滅とか。この現象が結構気になってます。
今年から読み始めたラノベ初心者が振り返る最近のラノベ - GilCrowsのペネトレイト・トーク
という現象の話。
見出しに「ラノベサイト」ではなく「ウェブサイト」を使ったのは、ラノベサイト以外のサイト(要するにオタク向けニュースサイト)の影響について考えたいと思ったから。そういう意味では、『ラノベサイトは無視されているのか?』とかのほうが、釣り餌見出しとしては正しいかもしれない。
さて、id:GilCrowsさんは『生徒会』『AURA』『俺妹』の三作品を挙げて「ネットで爆発的にヒットしたライトノベル」としている。注目してほしいのは、これが「ラノベサイトで爆発的にヒットした」ではないということだ。
『AURA』、というか田中ロミオ作品は、作者が人気エロゲライターということで、ラノベ読みよりもエロゲーマーの方が盛り上がっているような感じだった*1。『俺の妹がそんなに可愛いわけがない』も、個人ニュースサイトが取り上げたために話題となった。どちらもラノベサイトを介在せずに広まった作品だと言える。
また、中身の奇異さに注目が集まったけれど作品自体の評価は決して絶賛オンリーというわけではなかった『生徒会の一存』がネット爆発の一つに挙げられている一方で、ラノベサイト界隈で絶賛されまくって2008年上半期ラノベサイト杯のド本命と目されていた『とある飛空士の追憶』については「上記三作のような派手な騒ぎにはならなかったけど」と書かれているのも興味深い。ラノサイ杯など所詮はコップの中の嵐に過ぎぬのだよ…って感じ。
まあ、ラノベサイトなんて、基本的にはラノベオタクがラノベオタクに向けて書いているものなので、影響があるにしてもラノベオタクにしか及ばないだろう。間接的に売り上げに貢献することはあるけれど、「ラノベサイトにその話題が駆け巡った翌週にはアキバ壊滅」なんてことは起こりようがない。*2。
id:GilCrowsさんのような「普段は他のもの見てるけど最近ラノベも嗜むようになりました」というハイブリッドオタクが、オタク向けニュースサイトをよく見ているのは当然だし、ラノベサイトをこれまで見ていなかったのもまた当然だろう。今後、ラノベ市場がさらに拡大して新人ラノベ読みが増えれば、ますますラノベサイトは無視されるようになるのでは?
といったところで、誰か『ラノベサイトはぜんぜん無視されてないよ!』or『たしかにラノベサイトは眼中にないね!』という記事を書いてください! よろしくお願いします!
*1:桜庭一樹や有川浩の越境をネタにラノベサイトが盛り上がっていたのに似てる?
*2:関連:ラノベサイトの評判が、売上に繋がった(かもしれない)事例〜「狼と香辛料」の場合〜 - 平和の温故知新@はてな
作者:kazenotori
更新日:2008年9月18日 6時28分
ライトノベルが衰退するかはわからないが変化はしている、エロい方向に
2004年あたりのラノベ解説本ブームから、越境作家の増加、新規参入レーベルの増加、ハルヒのヒット、アニメ化作品の増加を経て、ついに「ラノベブームだ、これからはラノベの時代だ」とか「いや既にラノベは危ない、衰退しつつある」とかなんとか語られるようになったライトノベルですが、それを取り巻く状況はよく語られるのに、その具体的な変化についてはあまり取り上げられていないような気がするので、軽く書いてみたいと思います。
これまでのあらすじ
『スレイヤーズ』『オーフェン』で世界を支配した富士見ファンタジア文庫が衰退した後、代わって覇を唱えたのは『ブギーポップ』を擁する電撃文庫でした。それに伴ってライトノベル界の主流もファンタジーから学園物へと変わり、セカイ系ライトノベルの『イリヤの空、UFOの夏』、学園異能のテンプレートを作った『灼眼のシャナ』や、電撃文庫の出身ではありませんが、学園+ロボの『フルメタル・パニック!』、学園物作品のパロディである『涼宮ハルヒ』シリーズなどの学園物ライトノベルが次々と登場したのです。しかし、電撃文庫も絶対的な支配力までは持てず、その周辺では多くのラノベレーベルが興り、またかつての王者・富士見ファンタジア文庫も密かに力を蓄えていました。ここにライトノベル界は大戦国時代を迎えたのです…!
萌エロ路線をとって台頭したMF文庫J
電撃文庫に対抗する非角川系ラノベレーベル*1の代表格といえばMF文庫Jでしょう。『ゼロの使い魔』を筆頭に、『かのこん』『えむえむっ!』『ぷいぷい!』『ねくろま。』『けんぷファー』『きゅーきゅーキュート!』といったラインナップを取り揃え、新人の作品は一冊出るごとにラブコメ分増し増しになっていくという恐ろしさ。この徹底したラブコメ・エロコメ戦略により、電撃文庫・富士見ファンタジア文庫の二強に迫るほどの躍進を遂げました。
また、他の中堅レーベルも多かれ少なかれ萌エロ路線を取っています。たとえば、創刊当初は硬派だったHJ文庫ですが、いまやパンツ付きライトノベルを売り出すようなレーベルに変貌を遂げていますね。→「AIKa R-16」 女子高生パンツ付ライトノベル 発売
- 作者: ヤマグチノボル, 兎塚エイジ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2004/06
- メディア: 文庫
- 作者: 西野かつみ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2005/10
- メディア: 文庫
萌エロ路線をとって対抗する電撃文庫
対する電撃文庫も、MF文庫Jの好調を気にしたのか、萌エロ路線に傾きはじめているように思います。特に多いのは、わりとシリアスな作品を書いていた中堅作家が、萌エロ路線に転向するパターン。『カレとカノジョと召喚魔法』→『れでぃ×ばと!』、『ぼくと魔女式アポカリプス』→『C3 -シーキューブ-』、『座敷童にできるコト』→『タロットの御主人様。』、『神無き世界の英雄伝』→『Kaguya』などなど。いまのところどの作品も打ち切られていない、どころかけっこう売れているみたいなので、この戦略はとりあえず成功しているのでしょう。*2
- 作者: 七飯宏隆
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/06/10
- メディア: 文庫
しかし萌エロ路線はマニア受けしない
keyword:2008年上半期ラノサイ杯結果ページ(新規作品部門軽量版)
keyword:2008年上半期ラノサイ杯結果ページ(既存作品部門軽量版)
「ラノサイ杯(ライトノベルサイト杯)」というのはラノベサイト管理人による人気投票イベントなのですが。その結果を眺めてみても、上位の中でラブコメといえるのは『SH@PPLE』と『とらドラ!』くらいしか見当たりません。ちなみに、『SH@PPLE』はともかく、『とらドラ!』にエロは皆無です。また、MF文庫Jの作品もほとんど票を得ておらず、ようやく『死神ナッツと絶交デイズ』が8票を獲得した程度。ちなみに『死神ナッツと絶交デイズ』はラブコメではありません。
こうしてみると、ライトノベルサイトを運営するようなマニアたちがラブコメ・エロコメ路線をほとんど支持していないことがわかります。萌え萌えエロエロした、いかにもオタク好きしそうな作品が、ラノベオタクに受け入れられないというのも、ちょっと面白い話ですが。
結局
ライトノベルの読者層は、「1人で何冊も買う少数のマニア」と「1人あたりの購入冊数は少ない多数の中高校生」に分かれているといわれますが、MF文庫J系のエロコメは後者の方に好まれているのでしょう。レーベル側にとっては、当たり外れの大きいマニア狙いのシリアス作品よりも、エロパワーによって常に一定以上の売り上げを見込める萌エロ路線のほうが好ましいということもあるでしょうし。今後は、マニア層を狙ったレーベルと、ライト層を狙ったレーベルが、いま以上にはっきりと分かれていくのかもしれません。
作者:kazenotori
更新日:2008年9月7日 13時26分
ファンタジー物のラノベが復活しつつある、ような気がする
「ラノベってファンタジー小説のことだよね?」と言う人がいまだにいるくらい、一昔前はライトノベル=ファンタジーという印象が強かったのではないかと思いますが*1、いまやライトノベルでは学園物や異能バトル物が主流となり、ファンタジー物は一時期の人気をすっかり失ってしまいました。最近の話題作を思い浮かべれば、『フルメタ』に『シャナ』に『ハルヒ』と、現代学園物がずらりと揃っていますしね。
ところが最近は、ファンタジー物の新作が多かったり、その新作が売り上げランキングの上位に入っていたり、また今月などは電撃文庫が3シリーズもの戦記物を送り出したりして、実はわりと勢いが出てきているんじゃないのかファンタジー、という感じがします。読者層が入れ替わって逆に新鮮になったのかどうなのか、来年あたりファンタジー物の復権があるのかもしれません。
というわけで最近のファンタジー物を紹介してみるの巻。
戦記ファンタジー
いまファンタジー系の中で最も勢いがあるのではないかと思われるジャンル。特に電撃文庫は『タザリア王国物語』『烙印の紋章』『ゆらゆらと揺れる海の彼方』など複数の戦記ファンタジーを抱えており、なんだか知らないけど妙に力を入れている印象。
- 作者: 杉原智則
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/05/10
- メディア: 文庫
剣闘士が王子様と入れ替わって異国の姫君をゲットする話。超逆玉だぜ。じゃなくて。一巻では王子になるまでの経緯と初陣の様子が、二巻では剣闘士同士の一騎打ちと国内外に張り巡らされる陰謀・策謀が、それぞれ描かれており、戦争一辺倒ではないバランスの取れた作品になっていると思います。癖が少ないので初心者に最適。売り上げも好調なようです。
また、富士見ファンタジア文庫では『火の国、風の国物語』が、スニーカー文庫では『ミスマルカ興国物語』が、ともに準エース級の人気を獲得しています。
この作品の特徴はなんといっても主人公が強すぎる点。4人 vs 1000人で戦って(もちろん主人公は4人の方)無傷で勝利したりするあたり、文字通りの意味で一騎当千。そんなチート主人公を敵方はどんな策でもって止めるのか、またその策を主人公がどのように打ち破るのか、というあたりの駆け引きが見所でしょうか。あとヒロインの数も無駄に多くてハーレム最高。俺TUEEEの爽快感を味わいたい人におすすめです。
気力も体力もないぐーたら王子が、口先だけで世界征服しようとする話。『火の国〜』とはまったく対照的な作品で、読み比べてみると面白いです。この作品はかなり冒険ファンタジー的な要素が強くて、戦争シーンなんかがほとんどないあたりが特徴。まあ言葉で戦うのが主人公の信条なので、戦争になればその時点で彼の負けということなんでしょう。驚きと笑いに溢れた作品です。一風変わったものを読みたい人におすすめ。
冒険ファンタジー
少し前までライトノベルの主流だったジャンル。特に富士見ファンタジア文庫からは『スレイヤーズ』『魔術士オーフェン』『エンジェル・ハウリング』『スクラップド・プリンセス』『伝説の勇者の伝説』など、数多くの冒険ファンタジー作品が輩出されてきました。ただ、さすがの富士見Fもいまではすっかり非ファンタジーに重心を移していて、冒険ファンタジー系は『伝説の勇者の伝説』に任せきりという感じも。
- 作者: 渡瀬草一郎, 碧風羽
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2007/11
- メディア: 文庫
電撃文庫が誇る幼馴染作家・渡瀬草一郎が贈る正統派冒険ファンタジー。なんといっても幼馴染の凶悪さが凄い。見た目は清楚なお嬢様、しかしその中身は主人公に異常な愛情を向ける独占欲の権化。笑顔で人を殺すタイプ。個人的な予想ですがたぶんラスボスは幼馴染です。…いやもちろん、幼馴染以外はまっとうなファンタジーです。読み応えのある作品を読みたい人におすすめ。
学園ファンタジー
学園物+ファンタジーという黄金の組み合わせ。『ゼロの使い魔』を筆頭に、『黄昏色の詠使い』や、ちょっと雰囲気違うけど『鋼殻のレギオス』とか、けっこう人気作品が多いジャンル。
- 作者: 平坂読, じろう
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/07/23
- メディア: 文庫
売り上げ的には『レギオス』や『黄昏色〜』の方が上だろうにこちらを紹介するのは、まあ俺が好きだからです。ヒロインも全裸。主人公も全裸。一冊丸ごと全裸。魔法暴発→服が破れる→全裸、というお約束をやりたいがためにファンタジー世界を採用したんじゃないかと思えるくらい全裸。もはや「エロいから」とか「売れるから」とかそんな理屈を超越して、ただ全裸にしたいがために全裸にしているようにも思える全裸。『ねくろま。』最終巻は08年11月25日発売です。6冊まとめてレジへGO。
んで
ファンタジー作品のいちばんの問題点は「アニメ化されることが少ない」ということではないかな、と思います。最近のラノベ原作アニメの中でファンタジー物って『ゼロの使い魔』と『スレイヤーズ』くらいだし、なんかアニメ化しづらい空気になってるんじゃないかなぁ。
そういえば、『スレイヤーズ』が今頃になってアニメ化されたのは『伝説の勇者の伝説』アニメ化前の露払いなんじゃないかと勘ぐったりもしたんだけど、どうやら企画がポシャってしまったようで。いま猛烈にプッシュされてる同作者の新シリーズ『いつか天魔の黒ウサギ』は、どうやら学園異能系のようだし、やっぱりまだまだ異能バトル物が強いのだろうか。
*1:いや「ライトノベル」という言葉は定着してなかっただろうけど
作者:kazenotori
更新日:2008年11月16日 3時30分
ライトノベルって議論のネタがあんまりないよなぁ
と思うことがある。たまに。
たとえば漫画オタクなら作家の画力について、アニメオタクなら作画について語ることができるけど、ラノベオタクが挿絵について語ると単なるイラストレーターの話になってしまう。そこに「ラノベ読みならではの視点」みたいなのはあんまりない。いくら「ラノベはイラストが命」と言っても、イラストこそがメインである漫画とかと比べると、ラノベの挿絵は重要度が低い(誤解を招きそうな表現)んだろうな。「文章がダメだから途中で読むのやめた」はあっても、「イラストがダメだから途中で読むのやめた」なんてことは、たぶんないだろうし。
文章については、ラノベというジャンル自体が「文章の正しさ」をあまり気にしないということもあって、「てにをは」が明らかにおかしいというくらいでないと批判されないように思う。画力と違って文章力はパッと見では分かりにくいという理由もあるかも。
あと、ラノベに対する(外部からの)批判として、「ラノベは会話文が多い」「改行が多い」「擬音・擬態語が多い」というものがあるけれど、これらもいまでは「ラノベはそれでいいんだよ」みたいな空気になっているので、あんまり議論にはならない。あ、最近は「ラノベの文章はくどい」というイメージが生まれつつあるようなので、そちらは議論のネタになるかもしれない(誰か語ってみませんか?)。
ちなみに「会話の多用」については、こちらのコラムや新城カズマ著『ライトノベル「超」入門』にて、「そんなことないよ!」という指摘がなされている。
刊行点数が中途半端に多いために一つの作品についてとことん語ることが少ない。ラノベサイト界隈において「話題になる」とは、「その作品を(好意的に)紹介する感想ブログが多い」というのに過ぎない。それだって一ヶ月もすればまた別の「話題作」に取って代わられてしまうし。
ジャンプの看板漫画のように「誰もが知ってる超ヒット作」があれば、それについて語る人も増えてくるだろうけど、そこまでのヒット作は最近では『涼宮ハルヒ』シリーズくらいしかないし。そのハルヒだってジャンプのように毎週話題が提供されるわけでもないしなぁ(それどころか一年以上新刊出てないよ!)。
ちょっと前のエントリだけど、こちらではエロゲ語りにおける論点がまとめられている。
エロゲ語りに巣食う10のパラノイア - ForExample...
「処女と非処女」「寝取られ」「泣きゲーの是非」「ゲーム性」「業界論」「主人公の有能/無能性」「ボイスの有無」「エロ不要論」「美少女という造形」「エロゲ論壇不要論」が挙げられているけど、この中でラノベにも当てはまるのは「業界論」「ラノベ論壇不要論」くらいじゃないだろうか。「主人公の有能/無能性」も当てあまるかもしれないけど、でもエロゲほど主人公にこだわることはないよなぁ、たぶん。ちょっとヘタレだからってここまでネタにされるなんて、ほんと恐ろしい世界ですよ。
というわけで、ラノベサイトではライトノベル定義論が延々と繰り返されているという話。老若男女問わず盛り上がれる唯一の話題が「ライトノベルって何?」だなんて何だか悲しい話だけど、まあそれくらい話題がないということで。ブログが1ヶ月半も更新されないのも仕方がないですよね。
作者:kazenotori
更新日:2008年11月8日 13時49分
初めてのライトノベルに最適な一冊 平坂読『ラノベ部』
- 作者: 平坂読
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2008/09
- メディア: 文庫
元ネタ一覧やろうかなと思ったら案の定先を越されていて、俺より先に読んだ奴は爆発まあ書店に並んでからけっこう経ってるし仕方ないよね☆という気分になりました。ともあれ、ついに読たんが脚光を浴びるときが来たのだから、何はなくともプッシュしなくてはなりません。というわけで作品紹介です。
あ、いちおう元ネタ一覧も最後に書いておきます。せっかくリストアップしたしね…。
ラノベなんて存在すら知らなかった少女・物部文香が、ひょんなことから「軽小説部」に入部するところから物語は始まります。まあ物語といっても、基本的には軽小説部=ラノベ部の面々が、特に内容のない会話を繰り広げるだけです。ジャンル分けするなら日常系ということになるでしょうか。各章がかなり短いので、四コマ漫画みたいな感覚でさらさらと読み進めることができると思います。小説に慣れていない人でも安心の親切設計、という感じですね。
ラノベネタ・オタクネタは満載ですが、ラノベオタク専用作品というわけではありません。むしろその逆。これはラノベ初心者の少女が次第にラノベを好きになっていく過程を描いた作品です。ラノベの魅力、本を読むことの楽しさ、作者から迸るラノベ愛、そういったものがびんびんに伝わってきます。あなたがこの作品を読み終わったとき、きっとラノベを、いや漫画でもアニメでも小説でも、とにかく何かを読み/観たくて仕方がなくなっているはずです。…たぶん。
とりあえず、「ラノベに興味あるんだけど何を買えばいい?」という人は迷わず『ラノベ部』を買えばいいよ! 「初めてのラノベはどれを選ぶべき?」という人は『ラノベ部』を選べばいいよ! 「(元ネタ一覧を見て)ハルヒ? シャナ? 知らない作品ばかりだぜ…」という人にこそ『ラノベ部』を読んでもらいたいよ! 超おすすめ!
おまけ:『ラノベ部』の元ネタ一覧。確証はありません。
| ページ数 | ネタ | 元ネタ | 元ネタ解説 |
|---|---|---|---|
| カラー口絵 | 文香が持ってるラノベ | 『SH@PPLE』竹岡葉月 | 双子の姉弟がそれぞれの立場を取り替える異性装ラブコメ。富士見ファンタジア文庫。既刊3巻。ちなみに『SH@PPLE』と『ラノベ部』の絵師は同じ人。 |
| カラー口絵 | ヒロインたちによるコスプレ | 右から『ブギーポップ』シリーズのブギーポップ、『ゼロの使い魔』のルイズ、『狼と香辛料』のホロ、『灼眼のシャナ』のシャナ | |
| 登場人物名 | 名字がパロディになっている | 竹田→『ブギーポップ』シリーズの主人公・竹田啓司、浅羽→『イリヤの空、UFOの夏』の主人公・浅羽直之、物部→『Dクラッカーズ』の主人公・物部景、桜野→『銀盤カレイドスコープ』のヒロイン・桜野タズサ、堂島→『悪魔のミカタ』の主人公・堂島コウ、吉村→『護くんに女神の祝福を!』の主人公・吉村護 | |
| 16 | 「あなた、タイが曲がっていてよ」 | 『マリア様がみてる』今野緒雪 | いわずと知れた少女向け百合ラノベの定番。コバルト文庫。 |
| 23 | 「香辛料の香?」 | 『狼の香辛料』支倉凍砂 | アニメ化もされた経済的バカップル小説。電撃文庫。既刊9巻。 |
| 23 | 「なんとなく文学少女っぽい」 | 『“文学少女”シリーズ』野村美月 | ファミ通文庫の人気作。本を食べる“文学少女”がお説教してくれる話。切なそうな表紙に反してめっちゃドロドロしてる。全8巻+番外編が出るらしい。 |
| 30 | 日本刀を持ったマント姿の少女 | 『灼眼のシャナ』高橋弥七郎 | アニメ化もされた学園異能バトルのスタンダード。電撃文庫。既刊14巻。 |
| 34 | 最初のラノベ | わかりません | 意外になさそうなあらすじだけど。 |
| 36 | 二冊目のラノベ | 『スレイヤーズ』神坂一 | おそらく史上最も有名なラノベ。富士見ファンタジア文庫。 |
| 38 | 三冊目のラノベ | わかりません | 純粋なミリタリー物は珍しいから特定できそうだけど… |
| 44 | ネコミミモード | 『月詠』有馬啓太郎 | 有名な電波ソング。アニメのEDテーマ。原作の『月詠』は漫画。 |
| 46 | 表紙に犬っぽい耳が生えた少女 | 『狼と香辛料』支倉凍砂。追記:作者によると「狼と香辛料と見せかけてかのこんという叙述トリック」だそうです。 | |
| 49 | ケモノ耳が生えたせいで脳に障碍があるキャラ | 『ルナティック・ムーン』藤原祐 | 鬱・燃え・萌え、三拍子揃った純愛バトル小説。電撃文庫。全5巻。 |
| 52 | 友情は見返りを求めない | 『CROSS†CHANNEL』 | エロゲに登場する名台詞。らしい。 |
| 87 | ぱんつはいてない | 駒都えーじ | ラノベ的には『イリヤの空、UFOの夏』や『まぶらほ』の絵師。ぱんつをはいてないように見えるイラストで有名。 |
| 94 | 海賊王・新世界の神 | 『ONE PEACE』『DEATH NOTE』 | ジャンプ漫画。 |
| 95 | 様々な魔法を操る戦士たち | 『ウィザーズ・ブレイン』三枝零一 | 刊行ペースがゆっくりな近未来サイバーSFファンタジー。電撃文庫。既刊10巻。 |
| 106 | その部分だけ抜き出されて動画の素材に | 『らき☆すた』美水かがみ | チョココロネの文脈でいわれるとつかさの「ちんちん」を連想せざるをえない。 |
| 115 | 無限に枝分かれした平行世界 | 『学校を出よう!』谷川流 | よくある設定だけど次に出てくるのが同作者のハルヒネタなので。濃ゆいSF度を誇る学園アクション物。電撃文庫。既刊6巻 |
| 115 | 願望を実現させる能力 | 『涼宮ハルヒシリーズ』谷川流 | ラノベでは近年最大のヒット作。スニーカー文庫。既刊9巻。 |
| 141 | SH@…… | 『SH@PPLE』竹岡葉月 | |
| 141 | 少女漫画っぽいタッチで男の子と女の子が抱き合ってる | わかりません | 思いつくような思いつかないような |
| 141 | 制服姿の女の子が(中略)複雑なデザインの武器(?)を持ってる | わかりません | |
| 142 | 女の子の顔がアップに | 『涼宮ハルヒシリーズ』? | |
| 144 | 『ねくろま。』 | 『ねくろま。』平坂読 | 『ラノベ部』作者・平坂読の別作品。人が死んだりぐちゃぐちゃになったりしませんよ、本当ですよ。全裸の女の子ばかり出てくる最高のラブコメですよ。MF文庫J。既刊5巻。 |
| 144 | 全部カタカナの作者名 | ヤマグチノボル・ハセガワケイスケ・スズキヒサシとか | 「アサウラ」や「ツカサ」という作家さんもいるけど新人なので「前に書いていたシリーズ」がない。 |
| 149 | 「俺の武装錬金!」 | 『武装錬金』和月伸宏 | かつてジャンプで連載されていた熱血変態漫画。マジ傑作。全10巻。 |
| 153 | リレー小説『伝説のアルチメットセイバー伝説』 | 『伝説の勇者の伝説』鏡貴也 | リレー小説の内容自体はコードギアスっぽいような。 |
| 188 | えーるすとらいくがんだむ | 『機動戦士ガンダムSEED』 | の主役機。 |
| 196 | ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア | 『コードギアス』 | の主人公。 |
| 202 | 憂鬱・薔薇・蟲・鋼殻・刀鍛冶・処方箋・遊戯 | 『涼宮ハルヒの憂鬱』『薔薇のマリア』『蟲と眼球シリーズ』『鋼殻のレギオス』『聖剣の刀鍛冶』『桜乃きらほの恋愛処方箋』 | …「遊戯」だけわからなかった。 |
| 214 | KOOL | 『ひぐらしのなく頃に』 | ひぐらしネタ、らしい。 |
| 215 | 人斬り抜刀斎 | 『るろうに剣心』和月伸宏 | 働きたくないでござる!絶対に働きたくないでござる! |
| 217 | キラ×アスラン | 『機動戦士ガンダムSEED』 | の主人公& |
| 225 | 表紙にピンク色の髪をした少女 | 『ゼロの使い魔』ヤマグチノボル | ラノベでツンデレといったらコレ。MF文庫J。既刊15巻。 |
| 260 | なんすか? エックスなんとかとかアフターとかって | X RATEDは『ToHeart2』、アフターは『CLANNAD』、エクスタシーは『リトルバスターズ!』 | 三作品ともギャルゲ・エロゲ |
作者:kazenotori
更新日:2008年9月24日 14時46分
ウェブサイトはラノベの売り上げに影響をもたらすか?
そういえば、最近になってネットで爆発的にヒット、話題になったライトノベルって結構ありましたよね。ニュースサイトにその話題が駆け巡った翌週にはアキバ壊滅とか。この現象が結構気になってます。
今年から読み始めたラノベ初心者が振り返る最近のラノベ - GilCrowsのペネトレイト・トーク
という現象の話。
見出しに「ラノベサイト」ではなく「ウェブサイト」を使ったのは、ラノベサイト以外のサイト(要するにオタク向けニュースサイト)の影響について考えたいと思ったから。そういう意味では、『ラノベサイトは無視されているのか?』とかのほうが、釣り餌見出しとしては正しいかもしれない。
さて、id:GilCrowsさんは『生徒会』『AURA』『俺妹』の三作品を挙げて「ネットで爆発的にヒットしたライトノベル」としている。注目してほしいのは、これが「ラノベサイトで爆発的にヒットした」ではないということだ。
『AURA』、というか田中ロミオ作品は、作者が人気エロゲライターということで、ラノベ読みよりもエロゲーマーの方が盛り上がっているような感じだった*1。『俺の妹がそんなに可愛いわけがない』も、個人ニュースサイトが取り上げたために話題となった。どちらもラノベサイトを介在せずに広まった作品だと言える。
また、中身の奇異さに注目が集まったけれど作品自体の評価は決して絶賛オンリーというわけではなかった『生徒会の一存』がネット爆発の一つに挙げられている一方で、ラノベサイト界隈で絶賛されまくって2008年上半期ラノベサイト杯のド本命と目されていた『とある飛空士の追憶』については「上記三作のような派手な騒ぎにはならなかったけど」と書かれているのも興味深い。ラノサイ杯など所詮はコップの中の嵐に過ぎぬのだよ…って感じ。
まあ、ラノベサイトなんて、基本的にはラノベオタクがラノベオタクに向けて書いているものなので、影響があるにしてもラノベオタクにしか及ばないだろう。間接的に売り上げに貢献することはあるけれど、「ラノベサイトにその話題が駆け巡った翌週にはアキバ壊滅」なんてことは起こりようがない。*2。
id:GilCrowsさんのような「普段は他のもの見てるけど最近ラノベも嗜むようになりました」というハイブリッドオタクが、オタク向けニュースサイトをよく見ているのは当然だし、ラノベサイトをこれまで見ていなかったのもまた当然だろう。今後、ラノベ市場がさらに拡大して新人ラノベ読みが増えれば、ますますラノベサイトは無視されるようになるのでは?
といったところで、誰か『ラノベサイトはぜんぜん無視されてないよ!』or『たしかにラノベサイトは眼中にないね!』という記事を書いてください! よろしくお願いします!
*1:桜庭一樹や有川浩の越境をネタにラノベサイトが盛り上がっていたのに似てる?
*2:関連:ラノベサイトの評判が、売上に繋がった(かもしれない)事例〜「狼と香辛料」の場合〜 - 平和の温故知新@はてな
作者:kazenotori
更新日:2008年9月17日 21時28分
ライトノベルが衰退するかはわからないが変化はしている、エロい方向に
2004年あたりのラノベ解説本ブームから、越境作家の増加、新規参入レーベルの増加、ハルヒのヒット、アニメ化作品の増加を経て、ついに「ラノベブームだ、これからはラノベの時代だ」とか「いや既にラノベは危ない、衰退しつつある」とかなんとか語られるようになったライトノベルですが、それを取り巻く状況はよく語られるのに、その具体的な変化についてはあまり取り上げられていないような気がするので、軽く書いてみたいと思います。
これまでのあらすじ
『スレイヤーズ』『オーフェン』で世界を支配した富士見ファンタジア文庫が衰退した後、代わって覇を唱えたのは『ブギーポップ』を擁する電撃文庫でした。それに伴ってライトノベル界の主流もファンタジーから学園物へと変わり、セカイ系ライトノベルの『イリヤの空、UFOの夏』、学園異能のテンプレートを作った『灼眼のシャナ』や、電撃文庫の出身ではありませんが、学園+ロボの『フルメタル・パニック!』、学園物作品のパロディである『涼宮ハルヒ』シリーズなどの学園物ライトノベルが次々と登場したのです。しかし、電撃文庫も絶対的な支配力までは持てず、その周辺では多くのラノベレーベルが興り、またかつての王者・富士見ファンタジア文庫も密かに力を蓄えていました。ここにライトノベル界は大戦国時代を迎えたのです…!
萌エロ路線をとって台頭したMF文庫J
電撃文庫に対抗する非角川系ラノベレーベル*1の代表格といえばMF文庫Jでしょう。『ゼロの使い魔』を筆頭に、『かのこん』『えむえむっ!』『ぷいぷい!』『ねくろま。』『けんぷファー』『きゅーきゅーキュート!』といったラインナップを取り揃え、新人の作品は一冊出るごとにラブコメ分増し増しになっていくという恐ろしさ。この徹底したラブコメ・エロコメ戦略により、電撃文庫・富士見ファンタジア文庫の二強に迫るほどの躍進を遂げました。
また、他の中堅レーベルも多かれ少なかれ萌エロ路線を取っています。たとえば、創刊当初は硬派だったHJ文庫ですが、いまやパンツ付きライトノベルを売り出すようなレーベルに変貌を遂げていますね。→「AIKa R-16」 女子高生パンツ付ライトノベル 発売
- 作者: ヤマグチノボル, 兎塚エイジ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2004/06
- メディア: 文庫
- 作者: 西野かつみ
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2005/10
- メディア: 文庫
萌エロ路線をとって対抗する電撃文庫
対する電撃文庫も、MF文庫Jの好調を気にしたのか、萌エロ路線に傾きはじめているように思います。特に多いのは、わりとシリアスな作品を書いていた中堅作家が、萌エロ路線に転向するパターン。『カレとカノジョと召喚魔法』→『れでぃ×ばと!』、『ぼくと魔女式アポカリプス』→『C3 -シーキューブ-』、『座敷童にできるコト』→『タロットの御主人様。』、『神無き世界の英雄伝』→『Kaguya』などなど。いまのところどの作品も打ち切られていない、どころかけっこう売れているみたいなので、この戦略はとりあえず成功しているのでしょう。*2
- 作者: 七飯宏隆
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/06/10
- メディア: 文庫
しかし萌エロ路線はマニア受けしない
keyword:2008年上半期ラノサイ杯結果ページ(新規作品部門軽量版)
keyword:2008年上半期ラノサイ杯結果ページ(既存作品部門軽量版)
「ラノサイ杯(ライトノベルサイト杯)」というのはラノベサイト管理人による人気投票イベントなのですが。その結果を眺めてみても、上位の中でラブコメといえるのは『SH@PPLE』と『とらドラ!』くらいしか見当たりません。ちなみに、『SH@PPLE』はともかく、『とらドラ!』にエロは皆無です。また、MF文庫Jの作品もほとんど票を得ておらず、ようやく『死神ナッツと絶交デイズ』が8票を獲得した程度。ちなみに『死神ナッツと絶交デイズ』はラブコメではありません。
こうしてみると、ライトノベルサイトを運営するようなマニアたちがラブコメ・エロコメ路線をほとんど支持していないことがわかります。萌え萌えエロエロした、いかにもオタク好きしそうな作品が、ラノベオタクに受け入れられないというのも、ちょっと面白い話ですが。
結局
ライトノベルの読者層は、「1人で何冊も買う少数のマニア」と「1人あたりの購入冊数は少ない多数の中高校生」に分かれているといわれますが、MF文庫J系のエロコメは後者の方に好まれているのでしょう。レーベル側にとっては、当たり外れの大きいマニア狙いのシリアス作品よりも、エロパワーによって常に一定以上の売り上げを見込める萌エロ路線のほうが好ましいということもあるでしょうし。今後は、マニア層を狙ったレーベルと、ライト層を狙ったレーベルが、いま以上にはっきりと分かれていくのかもしれません。
作者:kazenotori
更新日:2008年9月7日 4時26分




